父と兄から虐待を受け、母は家出し、犬小屋で育てられた車いす生活の女装男「ドッグマン」の壮絶な半生を描くドッグアクション(?)スリラー!
公開から一週間後に新宿バルト9で観てきました。
結論、めちゃめちゃ面白かったです!(点数4.6/5)
劇場で観た記憶をもとに記事を書いていますので、「厳密に言うとここが違うよ」という箇所がありましたらお手数ですがコメントで教えていただけますと幸いです。
後半ネタバレありの感想も書いておりますので、未見の方は前半部分で離脱してください。
【ネタバレなし】作品紹介
あらすじ
ある夜、1台のトラックが警察に止められ、中には負傷した女装男性が乗っていた。
そして荷台には大量のワンちゃん!
どういう状況!?
その「ドッグマン」と呼ばれる男は逮捕され、警察署内で精神科医に自分の半生を語り始める。
どうやらその男は少年時代に複雑な家庭環境で育ったとのこと。
複雑ってゆーか、もはやカオス?
具体的に何されていたかってゆーと、父から暴力を受け続けた挙句、犬小屋にぶち込まれその檻の中で育てられていた。
大量のワンちゃんと共に幼少期を過ごし、大人になった現在もワンちゃん達と共に暮らしている。
何とか社会に馴染もうとするが、虐待の傷(脊椎?負傷のため車いす生活)もあり、就職先もなかなか見つからない。
しかし、ワンちゃん達を養う必要もあるためお金が必要で、ついに犯罪にも手を染めてしまう。
基本情報
原題 | Dogman |
ジャンル | アクション・スリラー・ドラマ |
監督 | リュック・ベッソン |
主演 | ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ |
上映時間 | 114分 |
製作国 | フランス |
製作年 | 2023年 |
登場人物
画像引用元:X『DOGMAN ドッグマン』公式
①ダグラス(ドッグマン):主人公の女装男性。少年時代は父から虐待を受け、犬小屋で育った。大量のワンちゃん達だけが信頼できる仲間。虐待の末、車いす生活を送っている。
②エヴリン:精神科医。警察に逮捕されたダグラスに警察署内でこれまでの人生を聞き出す。実はこの人もまた…
③サルマ:ダグラスが育った施設で働く、性格が明るく優しい先生。ダグラスの初恋の相手。
これから観る人は、とりあえずこの3人だけ事前に覚えておけば大丈夫です。
こんな人にオススメ!
画像引用元:X『DOGMAN ドッグマン』公式
(上の写真は「レオン」)
リュック・ベッソン作品が好きな人にはたまりません。
私、俗にいう「リュック・ベッソンらしさ」とやらがあまりピンときていませんでした。
しかし、本作を観て合点しました。
「レオン」が好きな人ならきっと楽しめます。
あと、シンプルにワンちゃんが好きな人にとっては、ツッコミどころも多いと思いますが楽しめるはずです。
こんな人は閲覧注意!
父親からの暴力シーンがちょっとむごたらしいです。
ですので、この作品同様に親から虐待を受けてきたような方が観ると、過去のトラウマがフラッシュバックされる可能性もありますのでご注意ください。
なお、グロテスクなシーンはあまりない印象でした。
もちろん人がバタバタ死んでいくバイオレンスシーンもありますが、血があまり見えないように工夫されていたように感じます。
そのため暴力的なシーンに慣れていない方でもたぶん閲覧大丈夫かと思います。
【ここからネタバレあり!】筆者の感想
全体の流れを整理
ざっくりと以下のような流れで物語が進んでいきます。
・ダグラスが警察に逮捕される
・ダグラスは警察署内で精神科医エヴリンに自分の半生を語り始める
・子供の頃の回想シーン(ひどい暴力を受けます)
・父に撃たれる(小指が吹っ飛び、脊椎損傷)そして母は家出
・犬のおかげで何とか助かり、父と兄は警察に逮捕される
・ダグラスは施設に移動してそこで育てられることに
・施設でサルマ先生に恋をする
・ダグラスは大人になり、犬の保護施設で働く
・サルマ先生との失恋
・犬の保護施設が役所によってつぶされる
・廃屋に引越し
・就職先を探すがなかなか雇ってもらえない
・キャバレーみたいな店で、週一で働くことになる
・でも金が足りないのでワンちゃんを使って金持ちから盗みを働く(本人は「富の再配分」と言っている)
・以前からダグラスを恨んでいたギャングが乗り込んでくる
・ワンちゃんと協力しギャングたちを皆殺し
・はじめのシーンに戻る(警察に逮捕)
・ワンちゃんの助けもあり警察署から脱出
・ラストシーン
筆者の率直な感想
①全体の雑感
114分間まったく飽きさせません!
良くも悪くも主人公に感情移入してしまうので、観ているこっちもずっと辛いんですよ。
観ていて辛い気持ちもあって集中力が途切れないんですよ。
ダグラスは本当にずっとひどい目に遭うんです。
少年期から肉体的・精神的にもボロボロにされていきます。
ダグラス本人は何も悪くないのに。
ただ単に生まれてきた場所を間違えただけなんです。
②主演男優の演技
画像引用元:X『DOGMAN ドッグマン』公式
主演ケイレブ・ランドリー・ジョーンズの演技だけで114分間集中して観れます。
役に没入しています。
当たり前ですが、私はこのレベルの演技ができる自身はありません。
ご本人がすごいのか、監督の演技指導の賜物なのか、いずれにしても惹きこまれます。
③失恋シーン
このシーンは正直辛いです。
施設で出会った先生(サルマ)にずっと恋心を寄せていました。
大人になって勇気を出して告白するも、サルマには既に旦那さんがいて妊娠もしている。
それを知った瞬間のダグラスの気の落ち込み具合は察するに余りあります。
これまでの人生何も楽しいことがなかっただろうに、そのうえ大好きな人と結ばれることもない。
トボトボ家に帰りついたダグラスは、ついに気が狂ってしまいます。
自ら立つことも困難な身体なのに、車いすを持ち上げ、犬小屋の檻にガンガン叩きつけてしまいます。
その様子にワンちゃん達も「オイ!どうしたんだよダグラス!?」と言わんばかりに寄って来る。
しかし、暴れて疲れ果てて倒れてしまったダグラスを優しく慰めるワンちゃん達。
もう観ていて悲しくて泣けてきますよね。
④犬が賢すぎる
とにかく全編を通してワンちゃんが大活躍です。
でも、「こんなにワンちゃんって頭良いの?」と疑問。
確かに犬は相対的に賢い動物だと心得ています。
それに私はワンちゃんを飼ったことがありませんので詳しい犬事情は分かりませんが、「どう考えてもこんな芸当はできないでしょ!」とツッコミが入ります。
もし、ワンちゃんを長年飼っている方が観たら違う感じ方かもしれません。
でも、そんなツッコミはどうでもいいんです!(笑)
こんなしょーもないツッコミを無意味にしてしまうほどワンちゃんのアクション(ダグラスとの連携プレー)は見応えあります。
⑤保険会社の担当者かわいそう
ダグラスが宝石の盗みをやったせいで(厳密には犬にやらせた)、盗まれた宝石の主人が保険会社の担当者を呼び出します。
なぜなら盗まれた宝石に保険がかけられていたから。
保険屋は独自に調査を進め、ついにダグラスが犯人だと突き止めます。
そして一人でダグラスに直撃した結果、犬たちに食い殺されます。
この保険屋もかわいそうだけど、こんなやばそうな廃屋に一人で直撃するなよ…と思ってしまいます。
担当者一人で勝手に動き回るんじゃなくて、もっと組織的に行動しろよ(笑)というツッコミも入りそうです。
⑥教会の前で仰向けになって寝そべるラストシーン
画像引用元:X『DOGMAN ドッグマン』公式
「教会の前で寝そべる」という行為が何を意味するのか?
観る人によって解釈が分かれます。
まず「教会の前で寝そべる」という行為がキリスト教においてどのような意味をもつのかを調べてみましたが、はっきりとしたことは分かりませんでした。
もしキリスト教に精通している方がいたらコメントで教えてください。
私はキリスト教信者ではないので分かりかねますが、この行為は少なくとも神をリスペクトしているようには見えないですよね。
つまり、ダグラスはこの行為をもって「もう神は信じない。自分の足で生きていくんだ」と心に誓ったようにも見えます。
私はこのように解釈したので、とても前向きな気持ちで観終えることができました。
⑦過去に執着することなかれ
ラストシーンの解釈にもよりますが、私自身は「神に期待している場合ではない」というメッセージを受け取りました。
残酷ですが人は生まれてくる場所を選べません。
「消し去りたい過去」や「どうにもならない自分の身体」に思い悩んで毎日を送っている人も多いでしょう。
生まれてきた場所がどんなに悲惨な環境でも「今から生まれ直す」なんてことはできないですよね?
どんな親の元で生まれようが、自分の身体がどんな状態でも「これからどうするか?」を考えるしか人生の道はありません。
本作はきっと、あなたの「明日への勇気あるワンアクション」につながる作品になり得るでしょう。
不遇な状況に苛まれているいる方にとって勇気をくれる作品だと私は解釈したため、タイトルにあのような記載をしました。
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この記事を令和6年6月に更新しましたが、更新時点ではU-NEXTで配信開始(レンタル)されていました。
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まとめ
いかがだったでしょうか?
ネタバレありとして記事を読んでくださった方は、共感した方もそうでない方もいらっしゃるかと思います。
私も若造で、かつそれほど頭もよくないので高度な考察ができているとは思えません。
もし、私とは別の視点がありましたらコメントで教えていただけると幸いです。
今日もご愛読いただきありがとうございました。
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