今回は先週6月7日に公開した映画「あんのこと」を観てきましたのでネタバレありで感想を語っていきます。
主にラストシーンや毒親について語っていきます。
ネタバレしますので未見の方は読まないでください。
初めに言っておきますがこの映画、かなり観る人を選ぶ作品です。
誰にでもオススメできる作品ではありません。
最後まで観終えるには相当の精神力を要するでしょう。
「映画を楽しみに来ただけなのに、なんで嫌な気持ちにならないといけないの?」と思う人もいるでしょう。
観終わって明るい気持ちになることはないでしょう。
しかし、良くも悪くも本作を観ていると様々な感情が湧いてきます。
そういう意味では勉強になりますし、超良作だと思います。
観ていて何も感じないような眠たくなる映画よりはるかに素晴らしい映画体験を提供してくれると思います。
今回は僕なりに思ったことを書いてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
あらすじ
売春や麻薬の常習犯である21歳の香川杏は、ホステスの母親と足の悪い祖母と3人で暮らしている。子どもの頃から酔った母親に殴られて育った彼女は、小学4年生から不登校となり、12歳の時に母親の紹介で初めて体を売った。人情味あふれる刑事・多々羅との出会いをきっかけに更生の道を歩み出した杏は、多々羅や彼の友人であるジャーナリスト・桐野の助けを借りながら、新たな仕事や住まいを探し始める。しかし突然のコロナ禍によって3人はすれ違い、それぞれが孤独と不安に直面していく。
引用:映画.com
作品情報
引用:映画.com
監督 | 入江悠 |
主演 | 河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2024年 |
上映時間 | 113分 |
レイティング | PG12 |
登場人物
引用:映画.com
・香川杏(主人公):河合優実
・多々羅保(刑事):佐藤二朗
・桐野達樹(記者):稲垣吾郎
・香川春海(杏の母):河井青葉
・香川恵美子(杏の祖母):広岡由里子
・三隅紗良(隣人、幼子の母):早見あかり
ネタバレあり感想
率直に思ったことをテーマごとに書いていきます。
ネタバレしますので未見の方はご退出ください。
あくまで一人の人間が思ったことを書き記しているだけですので、その点だけご了承ください。
どう考えても毒親が一番悪い
引用:映画.com
「誰が一番悪いのか?」といった犯人捜しのような考え方はあまり好きではありません。
人生で起きる出来事はそんなに単純なものではないですよね。
様々な要因が複合的に組み合わさってその結果が表れているだけです。
つまり、基本的には何か一つの要因(犯人)だけによって結果が生まれるものではないでしょう。
本作においても、コロナが発生したり、信頼していた人(多々羅)が逮捕されたりと杏ちゃんを苦しめる要因はたくさんありました。
したがって、杏ちゃんがラストのような末路(後述する)を迎えたのも様々な要因の相互作用の結果なんだと思います。
しかし、そうは言っても本作を観る限りではどう考えても母親が一番悪いと思ったのは僕だけですか?
この母親がすべての元凶です。
この母親さえいなければ杏ちゃんの末路はまた違ったものになっていたでしょう。
多々羅や桐野が杏ちゃんに力を貸して、杏ちゃんは何とか人生建て直そうとしているのにいつも母親がタイミング悪く現れて杏ちゃんの日常をぐちゃぐちゃにしていきます。
本当にこんな母親が存在し得るのかどうか疑問です。
こんな母親に対して「信じられない…」と思っている僕は恵まれているのかもしれません。
母親がなぜこのような歪んだ人格なのかは作中で描かれていません。
本作で、杏ちゃんは楽しそうにしているときと不幸のどん底に陥っているときがあります。
不幸のどん底を創り出しているのはいつも母親です。
本当にあり得ない母親です。
この母親役を演じた河井青葉さんに拍手を送りたいです。
素晴らしい演技でした!胸糞悪かったです(笑)
最悪のラストシーンについて
引用:映画.com
ラスト、杏ちゃんはベランダから投身して自ら命を絶ってしまいます。
この結末を観た方はどのように思ったでしょうか?
「何があっても最後まで希望をすてちゃいかん」
「何があってもこんなことは絶対にしてはいけない」
と思った方もいるかもしれません。
そのような意見は確かに正論だと思いますし、否定するつもりはありません。
しかし、個人的には安易に「絶対にしてはいけない」と一言で片づけるのは思考停止だと思っています。
念のため何度も言いますが、この行為について僕自身「絶対にしてはいけないこと」だと思っています。
でも、「絶対にしてはいけない」と言っている方に聞きたい。
「その人に何をしてあげられますか?」
お金を配ることはできますか?
お金じゃなくてもその人に手を差しのべることはできますか?
多くの方は底辺でもがいている人々に対してやってあげられることがほとんどないと思います。
というか一個人が背負うことのできる問題ではないと思っています。
グダグダと一体僕は何が言いたいのか?
単に「自ら命を絶つなんてやってはいけないこと!」と言うだけじゃなく、そんな人たちを救うための具体的なアクションプランを考えることが重要だと思いました。
こんな偉そうに言っておきながら僕自身なにか具体的なアクションプランを思いついているわけではありません。
本作では杏という一人の女性にスポットを当てていますが、見えないところで同じような末路を迎えている人々がものすごい数いらっしゃるかもしれません。
多くの被害者たちを救済するには経済政策の都合上など、解決するための難しい課題もたくさんあるでしょう。
しかし、まずは本作を観て根本の問題である「毒親」について深く考えてみることが重要だと考えました。
※僕は本作においては、根本の問題が「毒親」だと解釈しました。
毒親問題
引用:映画.com
ぶっちゃけ僕はこの問題について語る資格がないかもしれません。
なぜなら僕は毒親に育てられたわけではありませんし、児童相談所などの職員でもないので経験や専門性が一切ないからです。
しかし、だからと言ってこのテーマについて考えないというのは違うと思います。
そんなこと言っていたら、たいていの人は経験や専門性がないかもしれません。
これだと誰も考えなくなり、毒親問題が解決されることは絶対にないでしょう。
どんな問題も解決するにはまず問題意識を芽生えさせる必要があります。
問題意識がないかぎり、解決へのアクションへつながることは絶対にあり得ませんからね。
個人的には「絶対に毒親にはなってはいけない」と言うだけじゃなくて、毒親が毒親たる所以を紐解いていくことが重要だと考えます。
本作ではその部分が描かれませんでしたが、普通の人間がいつの間にか狂っていき、毒親へと変貌する原因があるはずだと考えます。
その元凶を探っていくことは毒親問題を解決するうえで非常に重要だと思いました。
また、毒親になってしまった人間をどのようにして改心、もしくは排除していくべきかを考えていくことが重要だと考えます。
「排除」という言葉を使うと少し角が立ちますが、若くエネルギッシュで可能性に満ちた子供や青年を守っていくには毒親の存在から隔離させることも必要になると思います。
そのための社会システムをより強固にすべきではないでしょうか。
やはり胸糞悪い
引用:映画.com
最悪の結末を迎えたという意味でも胸糞悪いのですが、僕的に一番胸糞悪かったのは悪人がダメージを受けずに心優しい杏ちゃんが犠牲になってしまったことです。
ここで言う悪人とは当然、毒親のことです。
不思議なことに杏ちゃんは心優しい女の子なんですよ。
こんな親に育てられたのであれば心が荒んでいてもおかしくありません。
むしろ心が荒んでいる方が自然かもしれません。
心優しい杏ちゃんが病んでしまい、最低な人格の持ち主である母親は特段の精神的ダメージも受けずに世にのさばっているんです。
これっておかしくないですか?
他人を虐げるようなヤバイ人間がノーダメージで生き残って、虐げられる心の綺麗な人間が存在を消していく。
こんな構図は絶対におかしいと思うのですが…
この構図を逆転させる方法を模索しない限り、組織も世の中全体も良くならないと思っているのは僕だけでしょうか?
主演・河合優実さんの演技
引用:映画.com
SNS等でもかなり話題になっていますが、このことをコメントせずに本作を語ることはできないでしょう。
河合優実さんの演技は常軌を逸していました。
「リアルな演技」と言っていいのでしょうか?
杏ちゃんは碌に教育を受けてきていないので学がないんです。
その学のなさが声の発し方・話し方に表れているんです。
それを見事に表現できていたのが脱帽レベルでしたね。
ちなみに本作のトークイベントを動画で拝見したんですが、実物の河合優実さんは年齢以上に知的な話し方をします。
河合優実主演のドラマ「不適切にもほどがある!」
実は僕、最近観始めました。
めちゃめちゃ面白いです。
阿部サダヲさんも安定して面白いんですが、河合優実さんの存在感が際立っています。
これは人気出るはずです。
「不適切にもほどがある!」でのキャラクター(ジュンコ)と杏ちゃんは全く異なります(共通点もありますけどね笑)。
ぜひこれを機にU-NEXTに加入するのもアリだと思います。
※「不適切にもほどがある!」は令和6年6月本記事執筆時点においては配信されています。現在は配信終了している場合もありますので、詳細はU-NEXTの公式ホームページにてご確認ください。
ひとまず無料トライアルだけやってみて、合わなかったらすぐやめればいいと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回はかなり浅い内容ばかり書いてしまったかもしれません。
毒親などは根深い問題なので僕の知識・経験ではこの程度のことしか書けませんでした、申し訳ありません。
それでも今回の話が少しでも参考になったのであれば幸いです。
今日もご愛読いただきありがとうございました。
コメント