※本記事には多少のネタバレを含みます。未見で内容を一切知りたくない方は離脱願います。
今回紹介する映画「魔女の宅急便」はみなさんも何度も視聴したことがあるのではないでしょうか?
私と同じく子供の頃から観ている方も多いでしょう。
しかしこの作品、一定の人生経験を踏まないと理解しづらい内容となっています。
「何度も観ているけどいまいちピンとこないなあ」と思っている方に向けて今回はネタバレありで考察していきます。
あくまで私の解釈ですので正解ではありませんし、私は監督の意図も知りません。
みなさんもご一緒に考えてみてください。
引用:スタジオジブリ公式HPhttps://www.ghibli.jp/works/majo/#frame
この作品、一言で内容をザックリと要約すると「13歳の少女の成長物語」ということで異論はないですよね?
でも、分解して考えるといくつかの要素に分けることができるのでは?
例を挙げると、
・そもそもこの魔法(箒を使って飛べる)って何?個性のこと?
・ジジ←コイツ何者?
・唐突に登場する絵描きの姉さん←誰?何のメタファー?
あくまで一例ですが、分解した要素をそれぞれ考察すると面白い作品だと思います。
それぞれの要素についてすべて話すと長くなるので、今回は「ジジ←コイツ何者?」に絞って考察します。
考察というかもはや妄想かもしれませんがご容赦ください。
あらすじ
引用:スタジオジブリ公式HPhttps://www.ghibli.jp/works/majo/#frame
魔女の少女キキは、13歳になったタイミングで、しきたりに従い魔女のいない町で1年間修行するために旅に出ます。相棒の黒猫ジジと一緒に港町コリコに到着。そして、キキはパン屋の2階に間借りさせてもらい、箒を使って空を飛べるという「個性」を活かし、配達業者を始めます。
基本情報
監督 | 宮崎駿 |
主演 | 高山みなみ |
上映時間 | 112分 |
製作年 | 1989年 |
登場人物
引用:スタジオジブリ公式HPhttps://www.ghibli.jp/works/majo/#frame
・キキ:本作の主人公。13歳。黒いワンピースと赤いリボンがトレードマーク。
・ジジ:キキの相棒のオスの黒猫。普通に人間の言葉を話す。しかし、キキ以外の人間と会話をしているシーンはない。
・トンボ:飛行クラブに所属するメガネの少年。本名はコポリ。明るくコミュ力抜群のみんなの人気者。
当記事においてはこの3人くらいをおさえておけば大丈夫です。
ジジって何者?(ネタバレあり注意!)
引用:スタジオジブリ公式HPhttps://www.ghibli.jp/works/majo/#frame
さっそく考察に入ります。
ここから先をお読みになる方は既に本作をご覧になっているという前提で話を進めます。
ではまず、ジジが言葉を発しなくなるタイミングを整理していきましょう。
ジジが言葉を発しなくなるタイミング
引用:スタジオジブリ公式HPhttps://www.ghibli.jp/works/majo/#frame
キキは、以前まで嫌っていたトンボと少し仲良くなります。
それなのに、あることがきっかけでトンボの好意を踏みにじってしまうんですよ。
具体的に何があったのか?
つい先日、ある老人に頼まれてその老人の孫娘にニシンのパイを届けに行ったのです。
孫娘にパイを手渡しした際、孫娘は「私このパイ嫌いなのよね」と吐き捨てて部屋に戻っていきます。
まあフツーに嫌な奴ですよね。
そんなこと心の中で思っていてもわざわざ宅配業者に言うなよ(笑)
引用:スタジオジブリ公式HPhttps://www.ghibli.jp/works/majo/#frame
この出来事で一時的にキキは落ち込みました。
後日、キキとトンボが仲良く一緒に話しているときにトンボの友達数人が話しかけてきます。
「おーい、トンボ!お前も一緒に来いよ!」みたいな感じで。
するとその友達数人の中に先日の嫌な孫娘がいたんです。
おそらくキキはそのことに気付いたんだと思います。
そして瞬時に「トンボのやつ!こんな女と仲良くしてんのかよ!」と心の中で思ったんでしょう。
そして、「一緒に行こうよ」と声をかけてくれたトンボを突き放してその場を去ってしまいます。
客観的にみても扱いづらい女の子ですよね、キキは…(笑)
しかし、キキ自身も自分の器の小ささに相当な自己嫌悪を感じてしまったんだと思います。
家に帰るやいなや、ベッドに前つんのめりで倒れこんでしまいます。
「せっかく友達ができたのに…どうかしてる」と心の声が漏れてしまいます。
この直後からジジが言葉を発しなくなりました。
つまり、明らかにジジが話さなくなったタイミングは「トンボの好意を踏みにじったこと」がきっかけだと分かります。
ジジの存在(仮定)
引用:スタジオジブリ公式HPhttps://www.ghibli.jp/works/majo/#frame
結論を言うと、私の仮定は「ジジ=キキの心の声」です。
「キキの心の声」とは、自分(キキ)に問いかけるもう一人の自分(キキ)のことです。
つまり、ジジははじめから人間の言葉を話していなかったのだと思います。
ところでみなさん、自問自答することってありませんか?
ちなみに私はあります。
「これでいいのか?」「俺ならいける!」などと心の中で声を発することありますよね?
ときには自分を鼓舞したり、ときには卑下することもあります。
例を挙げると、以前の私は、絶対に倒産することのない組織に属しており、安定した人生のレールに乗っていました。
でも、もう一人の自分(裏の自分)がずっと問いかけてくるんです。
裏自分「人生は1回しかないよ?このままでいいんだよね?」
表自分「んん…まあこれでいいと思うよ!みんな同じような人生送っているし」
裏自分「みんなと同じでいいの?他人を基準に人生決めてる?」
表自分「いやそういうわけじゃないんだけど、現代社会での現実的な生き方ってもんがあるじゃん?」
裏自分「現実的な生き方って何?」
表自分「ん~まあとりあえず毎月確定した給与をもらって食べていくことかな?そんで休日は趣味を楽しんで~。それの何が問題なの?」
裏自分「今の仕事は楽しい?」
私の場合はこんな感じでもう一人の自分が問いかけてくるんです。
たまにこの「裏の自分」がうざったく感じて、無理やり消し去って、考えることをやめることもありました。
本作の場合だと、表の自分がキキであり、裏の自分がジジだと仮定することができます。
悩みを言語化できているうちはまだ大丈夫
ところでみなさん、今悩んでいることを言語化できますか?
悩みが残ったままだと気持ち悪いですよね?
人って悩みがあると何とかその問題を解決しようとする習性があると思ってます。
みなさんもそうじゃないですか?
でも「問題点を言語化することができない」限り、問題解決なんてできるわけないがですよね?
例えば「恋人との関係がこじれてしまっている。このままズルズル付き合い続けてもこの先上手くいかないかもしれない」などと恋に悩むこともあるでしょう。
そんなときにあなたならどうしますか?
まず問題点は「恋人と○○がきっかけで関係に亀裂が入り、お互い口を利かなくなっている」
この問題点が明らかになった時点で次はアクションプランを考えますよね?
「何もなかったように平静を装い、付き合い続ける」又は「別れる」又は「話し合う」など。
問題点が分かっているから次のアクションを考えることができるんです。
つまり、問題点を言語化することができているうちはまだ大丈夫ですが、言語化できなくなるともはや身動きがとれなくなります。
そうすると自問自答すらできなくなります。
ジジが言葉を発しなくなったことは何を意味するのか?
ジジが言葉を発しなくなったということは、キキが「現在の悩みを言語化することができなくなった」ということを意味すると思います。
つまり、キキは「親切で優しいトンボに対して、なんであんなに冷たくしてしまったんだろう?」と自己嫌悪も相まって混乱してしまい、自分という人間が分からなくなってしまったんだと推測できます。
おそらくキキが生まれ育った町では、こんな経験なかったはずです。
キキは「自分がよくわからない」状態に陥り、うまく言語化できなくなったのだと思います。
その結果、自分の心の声を代弁していた存在であるジジが言葉を発しなくなったのだと考えられます。
ジジは今後も言葉を発しないのか?
キキはこれからも仕事で嫌なことがあり、プライベートにまで影響が及ぶこともあるでしょう。
そのたびにキキは悩みを言語化できずにジジが言葉を発しなくなることもあるでしょう。
この映画ではジジが言葉を発しないままエンディングを迎えます。
しかし、自分をとりまく問題の解決のために、問題点を言語化することに成功すれば、再びジジが話す日が来ると私は思っています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
共感した方もそうでない方もいらっしゃるかと思います。
私も若造で、かつそれほど頭もよくないので高度な考察ができているとは思えません。
もし、私とは別の視点がありましたらコメントで教えていただけると幸いです。
今日もご愛読いただきありがとうございました。
コメント